【特集】五感で味わうライン使いスキンケア美学

スキンケアは、肌を整える行為にとどまらず、一日の始まりと終わりを形づくる"所作"でもあります。
クレンジングからクリームまでを順に重ねる「ライン使い」は、一貫した流れのなかでテクスチャーや香りがつながり合い、まるで茶道や香道のようにひとつの物語を紡ぎます。
今回は、4つのブランドを取り上げます。
いずれも、自ら探しに行き、時間をかけて選び取るからこそ価値が生まれるスキンケア。
背景にあるストーリーとともに、その魅力をお届けします。
POLA B.A―生命感をそなえる、日本流の美の極み

POLAの最高峰ラインB.A(ビーエー)は、1985年の誕生以来、"肌の生命感"をテーマに掲げ、研究を重ねてきました。
単なる保湿やエイジングケアにとどまらず、「生命科学」をベースに肌そのものの可能性を探求しているのが特徴です。
百貨店のカウンターを舞台に、ひとりひとりの肌に向き合う姿勢は、製薬研究に匹敵する精度で続けられてきました。

テクスチャーは濃密でありながら重さを感じさせず、肌にすっと溶け込むように広がります。
重ねるごとに肌が静かに応えてくれるような感覚があり、仕上がりが次のステップへと優しく橋渡ししてくれるのです。
フローラルウッディの香りは、深呼吸したくなるほど緻密で、ケアのひとつひとつが"時間の贅沢"に変わるような瞬間を生み出します。
POLA B.A
基本ステップ
※ 週1–2回のスペシャルケアは「B.A ディープクリアライザー」などを追加。
MEM(メム)―心地よさと浄化の美学を伝える、手から生まれたアトリエブランド

MEM(メム)は、"こころよく、ここちよく"を体現するブランド。
その礎には30年のエステ施術と28年の自然派化粧品開発に携わってきた美容家・瀬戸口めぐみ氏の思いが詰まっています。
瀬戸口さんがプライベートサロンを続ける中、肌は"ここちよさ"に応えると実感し、独自の理論「浄化美容」を生み出しました 。
ブランドの核となるのが、群馬県の鉱山から採掘される希少な鉱石「貴陽石」を微粉末化した化粧品原料 「KIYOHクレイ」。
6500万年前の地層から得られる硬質な鉱石を、数か月かけて丹念に微粉末化し、全アイテムに配合されています。

テクスチャーには、まるで手でほぐすような柔らかさがあり、肌にのせるとふわりと溶け込んでいきます。
自然派かつ処方は丁寧で、合成香料や動物由来原料を使わない設計。
その香りはやさしく、心をほぐしてくれるよう。
ライン使いすることで「取り除き、浄化し、与える」一貫した美の所作が生まれ、肌だけではなくスキンケアへの意識まで上向きにしてくれそうです。
MEM
基本ステップ
※ 角質オフは「ソフト フェイシャル ゴマージュ」を目安週1回。
TATCHA(タッチャ)―京都の知恵とサンフランシスコの感性

TATCHA(タッチャ)はアメリカ発のブランドながら、創業者ヴィッキー・ツァイ氏が京都で出会った美容文化に感動し、その体験を出発点に誕生しました。
日本の美意識と西洋の先端技術を融合させた製品は、古都の庭園を訪れるような感動に満ちています。
製品すべてには、日本国内の「タッチャ・インスティテュート」で開発された独自成分 HADASEI‑3™ を配合。
これは、米・緑茶・海藻を二度発酵させた和食由来の美容複合成分です 。

パッケージには、京都への敬愛とおもてなしの精神が込められています。
クリームの容器は茶道の棗(なつめ)をモチーフにしたフォルムで、その蓋には着物の帯留めから着想を得た小さじ(kosaji)が内蔵されており、機能性と日本的美意識を融合 。
また、家紋を思わせる四つのハートで構成されたロゴは、タッチャからの確かな信頼印としての意味も。
さらに、桐箱や和紙を用いた包装は、伝統の美を日常に届ける思いの表れです 。
テクスチャーは軽やかで透明感に富み、肌に伸ばすと"内側の美"が目覚めるよう。
香りは清らかで凛とした余韻が漂い、使うたびに心が澄み渡ります。
ラインで重ねると、日々のケアが「静の儀式」へと昇華します。
TATCHA
基本ステップ
※ 季節や仕上がりでクリームはお好みを選択。
TEUDU(テウズ)―「手水」の精神を込めた、"美しく清める"ケアの境地

TEUDU(テウズ)とは日本語の「手水(ちょうず)」に由来し、朝晩の肌を"清める"所作を美しいスキンケア習慣に仕立てたブランドです。
創業者が10年構想し、"理想の肌"に真摯に向き合うために生まれたブランドであり、丁寧な選択の末に出会えるもの 。
ブランドの哲学は「美肌スパイラル」。
肌の菌そう(マイクロバイオーム)を整え、肌そのものが持つ力を引き出すという発想です。
そのために選ばれたのが、岩手県で無農薬栽培されたシソ葉エキス。
自然由来の力で肌を守り、不要な防腐剤に頼らない設計が徹底されています。
また、ラインの中でも象徴的な存在である「 TEUDU iP Scell Rich Emulsion」(クリーム) には、再生医療の分野で注目されるiPS細胞培養上清液が高濃度で配合されています。

テクスチャーは滑らかに肌を包み込み、"安心感と次への期待"が感じられる心地よさ。
香りは控えめで柔らかく、ケアのリズムを整えてくれるようです。
ライン使いすることで、肌の清浄なリズムと心の調和を巧みに繋げる、"美しく清める一連の所作"となるのです。
TEUDU
基本ステップ
※ 週2–3回の集中ケアに「BIHADA Spiral Mask」。
所作としてのスキンケア
4つのブランドに共通するのは、肌にのせる前から始まる"流れ"です。
容器を開け、香りを感じ、手に広げる――その一連の所作が重なり合い、日常の中に静かなリズムを生み出します。
スタートからゴールまでを通して積み重ねることで、肌だけでなく心までが整っていく。
スキンケアを単なる習慣から"所作"へと昇華させる時間――それこそが、ライン使いが教えてくれる大切な体験です。
※本記事は一般的な美容情報の紹介であり、製品の効果効能を保証するものではありません。使用に際しては各ブランドの公式情報をご確認ください。